しおりを挟んだまま、何日も開いていない本がある。買ったときには、たしかに読みたかった。けれど夜になると別の用事が入り、気づけば今日も眠る時間だ。
そんな一冊を前にして、さらに大きな目標を立てなくてもいい。まずは、本を開くまでにある小さな面倒を減らしてみよう。ここに挙げる七つの工夫も、全部そろえる必要はない。今の暮らしに入りそうなものを、一つ選ぶところから。
1.まずは5分、または1ページから
「毎日30分」「月に何冊」。その約束が重く感じられるなら、五分に縮める。一ページでもいい。区切りのよいところまで読んだら、そこでしおりを挟もう。少し続きが気になるくらいで閉じておけば、次に開く場所には、もう読みたいものが待っている。
2.本を開く場所を決める
朝のテーブル、いつもの椅子、移動中の座席。暮らしの中に、本を開けそうな場所はあるだろうか。ひとつ思い浮かんだら、読む本としおりを手に取りやすいところへ置く。読むたびに本を探す手間がなくなるだけでも、取りかかりは少し軽くなる。
3.通知が気になるときは環境を変える
数行読むたびに画面が光ると、物語から気持ちが離れてしまう。通知が気になるなら、読む間だけ控えるか、スマホを手の届かない場所へ。スマホで電子書籍を読むときは、通知を抑え、読書画面からほかのアプリへ移るきっかけを減らしてみる。まずは短い時間で、自分が落ち着ける環境を試したい。
4.短い作品や区切りのある本を選ぶ
短編や連作短編には、「今日は一話」という区切りがある。まとまった時間を取りにくい日には、その区切りが助けになるだろう。ただ、薄い本なら必ず読みやすいとは限らない。試し読みで言葉づかいや文字の密度に触れ、もう少し先まで読みたいかを確かめよう。
5.合わない本はいったん閉じてもいい
評判のよい本でも、今の気分には合わないことがある。何度も同じ行に戻ってしまうなら、いったん閉じて、別の一冊へ移ってもかまわない。読みかけのまま置いた本を、しばらくしてから読みたくなる場合もある。最後のページまでたどり着くことを、いつも最優先にしなくていい。
6.感想は一言だけ残す
書名の横に、「主人公が好きだった」と書く。「今は少し重かった」「またこの作家を読みたい」でもいい。長い感想を書く余裕がなくても、その一言なら残せるかもしれない。あとで本を選ぶとき、あらすじだけでは思い出せない自分の好みが、短い記録から見えてくる。
7.すでにある行動と結びつける
朝の飲み物を用意したあとに五分。寝る前に一ページ。休日なら、午前中のひと息に一章。時刻を厳密に守るのが難しいときは、いつもの行動に読書を添えてみよう。生活を大きく組み替えるより、すでにある時間のどこへ置けば続きそうかを考える。
最初の一冊は「読みたくなるか」で選ぶ
- 好きなジャンルや、以前楽しめた作家から探す。
- 短編集なら一話の長さ、長編なら章の区切りを見る。
- 映像で親しんだ作品の原作を候補に入れる。
- 試し読みで、会話の多さや文章のリズムを確かめる。
役に立つかどうかを考える前に、その続きが気になるか。最初の一冊では、その小さな気持ちを頼りにしてみたい。短い本に足が止まる日もあれば、好きな題材の長編を思いのほか読み進められる日もある。本の厚さだけでは、自分との相性は分からない。
読書道具は、必要を感じてから
しおり、ブックカバー、ライト、スタンド。読む場所が決まってくると、欲しい道具も具体的になる。手元が暗いのか、本を支える手が疲れるのか。困りごとが見えてから選べばいい。何もそろっていなくても、本は今日から開ける。
- ブックカバーは、本の高さと厚さに合うかを確認する。
- ライトは、照らせる範囲と明るさの調整方法を確かめる。
- スタンドは、使う本の厚さや重さに対応するものを選ぶ。
- 電子書籍端末は、読みたい本と利用するストアに対応するかを調べる。
読めない日があっても、戻ってこられればいい
慌ただしい時期には、数ページにも手が伸びない。そんな日は書店で表紙を眺めたり、気になった書名だけメモしたりして、帰ってきてもいい。毎日の読書に丸やばつをつけるより、また開きたくなる一冊をそばに置く。しおりの先は、急いで読まなくてもそこに残っている。