この記事には広告リンクが含まれます。Amazonのアソシエイトとして、綴ものは適格販売により収入を得ています。
「渡りの一日」を読みたいなら、新潮文庫の『西の魔女が死んだ』です。作品集には、本編と「ブラッキーの話」「冬の午後」「かまどに小枝を」を収録。文庫の内容をすべて含む本ではなく、併録作が異なります。詳しい目次と書誌は、記事の後半にまとめました。
学校の話から、魔女修行へ
まいは母に、もう学校へ行かないと伝えます。自分にとって、そこが苦痛を与える場所だから。
作品集の公式試し読みにある場面です。母は、しばらく学校を休もうと応じます。そして、二週間もすれば気力が戻るかもしれない、と話す。まいが今の苦しさを言葉にしていることと、母がこれからの見通しを立てようとしていること。その両方が、短いやりとりの中にあります。
休むことになっても、まいがどんなふうに一日を過ごすかは、まだこれから。そこで始まるのが、「西の魔女」と呼ばれるおばあちゃんとの暮らしです。出版社の紹介によると、まいが教わる魔女修行の肝心なところは、何でも自分で決めることでした。
学校へ行くことが苦しくなった少女が、今度は自分で決めることを教わる。その間に、どんな時間があるのか。修行の名前よりも、二人が一緒に過ごす日々のほうに目が向きます。
野いちごと、ラベンダーの上のシーツ
野いちごを摘んで、ジャムを作る。洗ったシーツをラベンダーの茂みの上に広げ、香りを移す。新潮社掲載の原幹恵さんのコラムは、まいとおばあちゃんの暮らしから、そんな場面を挙げています。
摘んだものが、あとで食べるものになる。洗濯を終えた布には、花の香りが加わる。手を動かすことが、食べる楽しみや、使うときの気持ちよさにつながっています。ジャム作りも洗濯も、祖母と孫が一緒に過ごす日々の中にあります。
まいには、学校で苦しくなったという事情がある。そのまいが、おばあちゃんと何を摘み、何を作り、どんなふうに暮らすのか。そうして見ていくと、一人の少女を知るための手がかりが増えます。魔女修行の「自分で決める」という言葉も、二人の暮らしの中で読んでみたくなる。
もう一つ、気になる祖母の言葉があります。新潮社に掲載された吉田伸子さんの書評で取り上げられている、まいへの「アイ・ノウ」という返事です。
自分で決めることを教える人が、まいの話を受け取る人でもある。自分の考えを持つことと、それを誰かに聞いてもらうこと。二人の関係には、その両方があるのだと読めます。教えの内容と同じくらい、まいにとっておばあちゃんがどんな相手なのかを、やりとりの中で知っていきたい。
まいのその後へ、おばあちゃんの言葉へ
本編を読んだあと、まいの暮らしがその先も続いていくことを、もう少し見ていたい。そんな関心に応える併録作が、文庫の「渡りの一日」です。新潮社は、まいのその後の物語として紹介しています。
作品集で目を引くのは、「かまどに小枝を」。出版社の紹介によると、おばあちゃんのモノローグとして書かれた短篇です。まいのおばあちゃんとして出会った人に、今度は本人の言葉から近づいていく。祖母が何を語るのかに関心が向くなら、こちらの作品集が選択肢になります。
作品集には、ほかに「ブラッキーの話」「冬の午後」も収録されています。まいのその後を追う文庫と、本編につながる三作を収めた作品集。どちらかをすでに持っているなら、表題作が重なることを確かめたうえで、誰の物語をもう少し読みたいかを考えて選べます。
版・収録作品と購入先の確認
| 比べる項目 | 『西の魔女が死んだ』新潮文庫 | 『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』 |
|---|---|---|
| 表題作「西の魔女が死んだ」 | 収録 | 収録 |
| 「渡りの一日」 | 収録 | 公式目次に記載なし |
| 「ブラッキーの話」「冬の午後」「かまどに小枝を」 | 公式目次に記載なし | 三作とも収録 |
| その他の目次項目 | 解説・早川司寿乃 | あとがき |
| 紙の本の形・ページ数 | 新潮文庫・240ページ | 四六判・224ページ |
ページ数だけで収録内容を判断せず、目次と奥付を確かめてください。以下のISBNは、この記事で比べた紙の本のものです。
新潮文庫『西の魔女が死んだ』
梨木香歩 著/新潮社/2001年7月30日発売/240ページ/ISBN:9784101253329。
Amazonで『西の魔女が死んだ』新潮文庫・紙の本を見る(広告)
『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』
梨木香歩 著/新潮社/2017年4月27日発売/四六判・224ページ/ISBN:9784104299119。
Amazonで『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』紙の本を見る(広告)
購入先では書名・版・ISBNを照合してください。価格や在庫は購入時の表示をご確認ください。電子版は紙のISBNではなく、商品名と収録説明を確かめて選びましょう。
確認日:2026年10月26日(日本時間)。収録情報は新潮社の各版の書誌・目次、作品紹介は公式試し読みと出版社掲載のコラム・書評に基づきます。文庫版の公式試し読みも公開されています。短篇の結末や本編の重要な展開には踏み込んでいません。
アイキャッチはAI生成によるイメージです。実際の書影や作品の場面を再現したものではありません。
この記事がよかったら
いいねについて
ログイン不要。もう一度押すと取り消せます。このブラウザーに記事ごとの匿名IDを保存し、当サイトで合計を集計します。いいねのためにIPアドレスを記録せず、外部サービスへも送信しません。別端末や保存データ削除後の重複は防げません。